寒雀 [季語を探す]
寒い。中学生の愚息は子どもらしく雪の降る日を心待ちにしているが、寒がりでもあるのでこれ以上冷え込むのは困るらしい。アンビバレントな心持ちであるわけだ。「チーム・バチスタ」シリーズ
温暖な東京といえどもいよいよ冷え込みが厳しくなってきた。純正北国育ちの家人によると冬は体の余計な力を抜き自然体を保つことによって寒さをしのぐべきであるらしい。無理だ。愚息だけでなく私も縮こまってしまう。
冬になると家じゅうで最もぬくい場所(稼働中のホットカーペット)で縮こまり動かなくなる拙宅の女子供(おもに私だ)とはちがい、こちらはアクティブでキュートな冬ならではの姿である。
寒雀
ほんとは雪が降るまで待ちたかった。雪との組み合わせでより雀のふくふくした姿が愛らしく絵になるとぼんやり頭の私だって分かってはいる。しかし、いくら今写真撮影に夢中であろうとも、雪の中で雀のラブリーなショットを狙いシャッターを切り続けられるだろうか。おおお、想像しただけで寒い。フライング気味であるがせっかく撮ったので今出してしまうことにした。
寒雀はなんと冬の中でも驚いたことに晩冬の季語であるらしい。この時季を晩冬とはとても言えないが、まあいいや、紹介してしまおう。冬になると堕落度が臨界点を軽々と突破するのだ。私の場合。
閑話休題。寒雀は凍雀(こごえすずめ)、ふくら雀ともいう。大歳時記(講談社座右版)によると
| 厳寒の候になると、食物が乏しくなるので、雀はますます軒先近くやってくる。毛並みもまるまるとふくらんできて、焼鳥にすると美味である。ふくら雀は寒中に全身の羽毛を膨らませている雀で、紋所や模様になっている。寒雀は焼鳥としての食味と、眼の民間薬として、その血を目にすりこめば利くとされたことから言われた言葉だろうが、今日俳人たちはそのふくらんだ、可憐な姿を句に詠むことが多い。 |
とある。なるほど。小学生の時に学校で鑑賞した映画が少年と雀のふれあい物語で、大人が「雀は焼くとうまいんだ」とかなんとかいい、主人公の少年がこの世の終わりのような顔をして凍りつく焼鳥屋のシーンがあり、これがかなり印象に残った。そりゃまあ、周りの級友たちとともに映画に引き込まれ、主人公役の少年が相当に演技派だったもので「なんと残酷なことをいうおじさんだ!」と息を呑んだがしかし、そんなにうまいものなら一度食してみたいものだという感懐がちらりと幼いころから食いしん坊であった私の脳裏をよぎったりしたものだ。ちなみに大歳時記(講談社座右版)の解説は最後、
| さすがに冬の風景句として多くは詠まれ、食味としての寒雀はほとんど読まれていない。 |
と締めくくられている。この解説を読んでますます「一度は食してみたいものだ」との感を強くしたのは私だけだろうか。
江戸時代は身近すぎて絵にならなかったのだろうか、意外なことに俳題としてあまり取り上げられなかったようである。しかしそのキュートな姿は「ふくら雀」と称して折り紙などの模様として図案化されたり、帯の結び方やら髪の結い方の名前になったりしたようだ。季語として定着したのが明治以降というのだから案外新しいお題である。
作例には数少ない江戸期のものもあった。
脇へ行くな鬼が見るぞよ寒雀 一茶
難しい言葉、概念を避け、平易な言葉を選んで素朴に練り上げられ、あふれるこの詩情。一茶の真骨頂が発揮された句である。うむうむ、と深くうなずきながらなんとなく気がついた。この鬼っていろんな解釈ができちゃうんじゃないか。公園のベンチで愛機オリンパスちゃんを構える私も雀さんたちからすれば鬼だったりして。だって、ねえ。ちらっと「うまそうなやつらだ」なんて思わないでもないもの。ちらっとだけ、だけどね。
そんなに無警戒に近寄ると撮っちゃうぞよ。

たいそう無邪気に首なんぞかしげているが、そこは野生の生き物。人が通れば蜘蛛の子を散らすようにぱあっと飛び去る。そしてまた集まってくる。ハトが来ようとカラスが来ようと私のような人間がペットボトル飲料を手に居座ろうともお構いなしに集まるさまを見ていてふと思った。はて、このあたりには雀さんたちが集合するような何かがあるのだろうか。
雀さんたちは落ち葉などをはね散らかして一心に何かをついばんでいる。見上げるとこの日私が休憩をとったこのベンチのそばには2本のサルスベリが植えてあった。

夏に赤や白、ピンクの可憐な花を咲かせるサルスベリに実がなっている。地面に落ちたこの実をついばんでいるようだ。花は見たことがあっても実はちゃんと見たことがない。そこで雀さんたちのように枯れ葉の間を探り、拾い上げてみた。
なるほどー、と一度納得しかけたが、さらにもう一歩踏み込んで、実をばらしてみた。
乾燥しているので指でつまむとすぐにはじけた。中は放射状に仕切られた小部屋が並んでおり、薄くて平たいものがたくさん詰まっている。これが種子なのだろう。振ってみると、平たい種子がばらばらと落ちてくる。ナッツ好きとしてはちと味見してみたい気持ちにもなったが、そこはヒトとして踏みとどまった。ふう、危うかった。どんだけ食いしん坊なんだ、私。
と、こんな具合で人としてのボーダーラインを割りそうな危うい場面はあったものの、好奇心がある程度満たされて満足したのであった。
こちらもどうぞよろしく。
↓ 愛機オリンパスちゃん(E-520)との軌跡をスライドショーでご覧いただけます。
音が出ます。ご注意くださいませ。











おはようございます。
自然体ですか。。。 無理かも
1枚目 素敵 いいなぁ~
最後の写真も好きです
そうそう、「さん」はいらないですよ
by はくちゃん (2008-12-27 08:46)
一枚目の雀ちゃん、なんてかわいいのでしょう!
冬になると(特に雪の日)、雀ってすっごい膨らむな~といつも思っていたのですが、季語にもなっていたんですね。
雀は、おいしいらしいですね。父が言ってました。
by きこじじ (2008-12-27 11:35)
お言葉に甘えて…はくちゃん、コメント&nice! ありがとうございます。
雀って身近な野鳥でかわいらしいのですが、すばしっこくてなかなか今まで撮影の機会がありませんでした。冬になるとわりと近くまで寄ってくるものなのでしょうか。
最後の写真はエクステンションチューブを使ってみました。影が濃くなるのが難点ですが、この日は快晴で光量が十分でしたので撮影しやすかったです。こうなるとやはりマクロレンズがほしくな…げふんげふん。ああ、いけません。物欲を抑えねば。
by 素風 (2008-12-27 18:59)
きこじじさん、コメント&nice! ありがとうございます。
ふくら雀、かわいいですねえ! 記事に「うまそうだ」ということしか書いていないことに今更ながら気がつきました。なんてこったい。やはり雀、おいしいんですかー。興味津々。鳩もおいしいらしいと聞いたことが…(とどまるところを知らない食欲です)。
小さくて丸っこくてふかふかしたものって、なんであんなにかわいいんでしょうねえ。拙宅ではオトコどもがこの手のかわいいものに目がないです。寒くなると雀を見るたびに「かわいい…」と目を細めています。
by 素風 (2008-12-27 19:07)
enosanさん、fukuputiさん、emiruさん、nice! ありがとうございます。
by 素風 (2008-12-27 19:08)
masakingさん、nice! ありがとうございます。
by 素風 (2008-12-27 22:34)
一枚目やサルスベリの実の写真は、冬って感じがして好きです。
そういえば、私の息子も冬は好きじゃないようです。先日あるプラネタリウムでの事・・・『皆さん、寒いけど冬は好きですか?』とか何とかいう冒頭のナレーションに『好きじゃない』と答える息子。周りからクスクスと笑う事が聞こえて来ましたとさw
by optimist (2008-12-29 00:01)
optimistさん、コメント&nice! ありがとうございます。
冬はお題が少ないようで探せば案外あるものですねえ。雀のふくふくしたキュートな姿を撮影しながらそう言えばこれは冬だなー、と思い出しました。
息子さん、か、かわいい…。おちゃめリアクションがたまりませんねえ。きっとプラネタリウムのその回の参加者は皆「そうだ、そうだ、寒いのは好きじゃないよね」と微笑ましく納得したに違いありません。
by 素風 (2008-12-29 03:15)
花乃助さん、nice! ありがとうございます。
by 素風 (2008-12-30 00:52)
ちよのすけさん、nice! ありがとうございます。
by 素風 (2008-12-30 09:35)
すずめちゃん、可愛いですね。
by dana (2008-12-31 18:18)
danaさん、コメント&nice! ありがとうございます。
そこら辺中にふくふくした雀がわらわらといて、とても微笑ましい眺めでした。
by 素風 (2008-12-31 22:12)
首を傾げる雀ちゃん、キュートですね〜。
雀って、そういえば、あまりじっくり見た事が無かったです。
そう、そう、私は食べた事がありませんが、雀は美味しいらしいですね。
by ぶすねこ (2009-01-06 00:02)
ぶすねこさん、コメント&nice! ありがとうございます。
あまりにも身近で私も常日頃はじっくりと雀を眺めることがないのですが、改めて見てみるとかわいいものですねー。先日は愚息と歩いていて「むはー。なんてかわいいんだ!」とともに雀に見入ってしまいました。
> そう、そう、私は食べた事がありませんが、雀は美味しいらしいですね。
私も気になるんですよう。なんだかんだでおよそ30年越しの懸案だわ。一度食してみたいのですが愚息が「あ、あのかわいい雀を…食べるの?!」と目をうるうるさせるので踏ん切りがつかない…。若いうちにちゃっちゃと探して食しておくんでした。
by 素風 (2009-01-09 11:07)