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はて、自由研究どうしようか [夏休み宿題狂想曲]




 もう六月も下旬である。愚息の期末テストが近い、というのももちろん気になるが、やる気のない中学生の息子にがっちりべったり張りついて勉強を見てやるというのもなんである。報われないむなしい作業になるのは目に見えている。精神衛生上よろしくない。様子を見つついつでも「べったりがっちり」できるようにはしているが、今のところ学校の授業が楽しいといっているので、もっとできるように分かるようになりたいと踏み込んだ気持ちになったときに「すわ!」と馳せ参じるつもりでいる。やきもきしつつ見守るたかだか五歩(拙宅は狭い)、遠い道のりだ。

 それはともかく、あと1ヶ月もすると夏休みなんである。早い、あっという間だという感懐はさておいて、夏休みといえば自由研究があるじゃないか。この自由研究、私が働いている間は工作旅行記など(尻をたたくのも短期決戦で済む)でお茶を濁していたのだが、愚息の希望を真に受けてがっぷりレポートに取り組んだ昨年、遅まきながらこれがとてつもなく楽しいものだということに私は気がついたのである。いやあ、なんというか、無事に完成させることができたから味わえた達成感であるが、あれはよかった。自由研究、これはもうお祭りだね。今からわくわくと楽しみで仕方がない。私の昨年の役割は情報とスケジュールを整理し、レポートの校正をすることだったが、愚息本人はともかく、サポートに徹した私もあれだけ砂つぶに翻弄されていながら懲りないものである。

 問題は今年のネタと愚息のモチベーションである。

 家人は鉱物好きと化した愚息の興味をさらに深めたいという気持ちが強いようだ。私は論旨のすっきりしたレポートを書いてもらいたい、この点は譲れないが、それを除けばただ愚息があーでもないこーでもないとやっている様子を観察するのが楽しみなだけなので、特にジャンルにはこだわらない。
 昨年は愚息が砂つぶをテーマにすると、大まかながら本人の発案があったのでレポートや検証に不慣れな点を除けば比較的スムーズに進んだといえる。中学入学以来、ぽつぽつと家族の間で「今年の自由研究はどうしようか」という話が出ているのだが、なかなか芳しい手ごたえがない。なんといってもレポートを書くのが苦痛というイメージを抱く愚息のモチベーションがあがらない。私としては貴重な家族のレクリエーションの機会が減っては困る。すっごく楽しみにしてるのにい。自由研究は確かに学習なのだが、学習効果は所詮本人自身ものなので、私のスタンスとしてはレクリエーションなのである。

 そんな中、先日、家族そろって散歩をしていて愚息が自由研究ネタを拾ってきた。
 近頃休日になると家族で近所をぶらぶらしつつ写真を撮る。その日はいつものルートから外れて違う路地に入ってみた。すると、住宅密集地のご近所では珍しく空き地があるではないか。近頃だんだんと群生を見かけなくなっているように思われるツユクサが咲いているのを見つけたので写真を撮った。

DSCN1326.JPG


 路地に面して一本ロープがはってあるので中には入れないが、外から見える範囲で知っている草の名前を愚息に説明していて気がついた。まだ更地にしてから長期間たっていないのだろう。草がぐんぐん伸びはびこる梅雨のこの時期に、まだ種類入り乱れた密生状態になっていない。地面が露出する中、草が生えている。よく見ると、同じ種類の草が集まってコロニーを作っているのである。コロニー間にまだ空きがあるので、この空き地の中で優占種を決める争いが本格化するのはこれからであろう。
 愚息にそのことを語りながら、植物がそれぞれ進化の末に戦略を持って繁殖していると考えられることを、手の届く範囲に生えているカタバミを例に説明した。カタバミは黄色く小さな花を咲かせる。そして、ミニチュアサイズのオクラのような形の実を縦につんつんとつける。この実が熟した辺りを見計らってカタバミのコロニーに手を突っ込み、手のひらを地面と水平にしてふりふりと振ると、ぷちぷちと種が弾け飛んで楽しい。この、タンポポのように遠くに種を運ぶ仕組みではないところにカタバミの戦略を感じとれはしないか。自分の株の葉が開く範囲を少し外れる程度の距離に種を飛ばすことで、同じカタバミのコロニーが徐々に広がっていく仕組みだ。
 まだ生態系を学校で習っていないのだろうが、先月かはくのダーウィン展を見に行ったので進化論が全く分からないわけでもないようだ。母の拙く怪しい説明もあらかたは飲み込めたらしい。愚息はこの空き地で繰り広げられる静かな陣取り合戦に感銘を受けたか、
「これ、自由研究にならないかなあ」
 と言い出した。
 確かに植物コロニーの盛衰を長期間にわたって観察するのもおもしろそうだ。しかし、目の前にロープ一本。明らかに「立ち入るな」という意思が感じられる。これを自由研究にするにはまず地主を探し立ち入り許可をもらう作業が必要となる。だいたい、次に見に行ったらもう地面を掘り起こして工事が始まっていたらどうするよ。こことは別だが、同じご近所の幼馴染の女の子の家は取り壊し後一週間ですでに工事が始まっている。
「それでも『僕が草むしりをするので観察させてください』って交渉するという手はあるよね。工事の開始時期を夏休みの後にしてもらうのは無理だとしても」
 と愚息に言うと
「うーん。無理かあ」
 とあきらめた様子。何より草むしりという点に引っかかりを覚えたと見た。無精者め。
 この空き地で植物観察、標本採集もできて一石二鳥であるが、近日中に家を取り壊して数ヶ月放置するプランがあるおうちのお子さん向けのテーマとなりそうだ。拙宅にはそんな都合のよい地べたはない。却下。

 そういうわけでテーマ決めですでに難航している。大丈夫なのか、愚息よ。今年は自由研究で楽しく愚息観察ができるか、母は大いに不安である。

2008年6月24日追記:
すうちいさん( ブログ「理科散歩 -本の森へ-」 )からいただいたコメントで
誤りに気がつきました。優先種ではなく、優占種が正しいです。
記事本文の該当部分を訂正しました。すうちいさん、ありがとうございます!



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コメント 10

素風

BlackCoffeeさん、takemoviesさん、nice! ありがとうございます。
by 素風 (2008-06-21 21:04) 

optimist

自由研究ですか~。
息子が学校行くようになったら、色々考えちゃいそうな自分です・・・。
あまり、過干渉にならないようにしないと^^;
by optimist (2008-06-21 21:13) 

素風

optimistさん、コメント&nice! ありがとうございます。
過干渉、そうですねえ。どの程度まで口を出し手を出していいかは去年も迷いました。昨年のサポート状況は私の基準ではかると過干渉になるかなあ。私は宿題は気がむいたものだけしかやらない超絶やりたい放題主義、親も放任という状態で小学校時代をすごしたので、自由研究も証物採集や参考書に載っているような実験程度で他はほとんどやったことがありません。だからでしょうか。愚息の自由研究を傍で見ているのがとても楽しかったです。
by 素風 (2008-06-21 21:52) 

mickey

ツユクサのブログを書いた折りに、他のツユクサの項目を検索していたら出会いましたので、初めてコメントをお送りさせていただきます。
我が家の近くの空地でも、ツユクサやナガミヒナゲシなど、結構、群生の生態系が変動します。コロニーの変動という見方は興味深いですね。
by mickey (2008-06-22 17:09) 

素風

mickeyさん、はじめまして。コメント&nice! ありがとうございます。
私はツユクサのあの青い花が幼い頃から好きなのですが、昨年咲いていた場所から消えていたり、春辺りから葉っぱで見当をつけてツユクサが咲くもんだと思い込んでいたところにトキワツユクサが咲いていたり、と近頃肩透かしを食らっています。
とはいっても写真を撮るようになったここしばらくにわかに関心を深めているところなので、長期にわたっていろいろと見て歩く必要がありそうです。住宅密集地なのですが、ご近所の野草を見て歩くのも案外楽しいものですね。
by 素風 (2008-06-22 22:03) 

すうちい

去年、我が家の5件ぐらい先の家が更地になったとき、夏に一面のヨウシュヤマゴボウの繁みになり驚きました。
10年前に家がここに越そうとしたときは、オニヒトデのようなマツバボタン(みたいなやつ)がボツボツと咲いていて、とても不思議な光景だったことを思い出します。
更地になった季節的なタイミングなんでしょうけど明らかに優占種がありますよね。見てるとおもしろいですね。
by すうちい (2008-06-23 23:03) 

素風

すうちいさん、コメント&nice! ありがとうございます。
あー、やっちゃいました。優先種じゃなくて、優占種でした。ありがとうございます。意味を思い出せばすぐ分かるはずなのに! オノレの阿呆進行度合いが恨めしい。とりあえず高校時代の生物の恩師(私たち生徒はミトコンドリアとお呼びしていました)にごめんなさい、と遠くから頭を下げておきました。
人の手が入らなくなった季節やタイミングで陣取合戦に勝利する種類が変わってくる、確かにそのようです。拙宅付近は住宅過密地域なので長期間放っておかれる地べたがないのですが、一ヶ所、おもしろげなところを発見しました。今後数年以内に取り壊されることが決まった省庁系の住宅があるんです。現在徐々に人が減りつつあり、路地に面した花壇を省みる人がいなくなったようなのですが、ここがすごい。園芸品種と野草がしのぎを削り、数ヶ月ごとに優占種が変わっているのです。ほんと、路地からちらりと眺めるだけでもおもしろいですねえ。
by 素風 (2008-06-24 08:23) 

ちよのすけ

自由研究、楽しんでいますね。今年の夏も楽しみにしてます!
by ちよのすけ (2008-06-27 23:31) 

素風

ちよのすけさん、コメント&nice! ありがとうございます。
自由研究、このとき以来話題に上らなくなっちゃいました。今年はどうなるんだろう。部活動の練習も前半は毎日あるようだし、迫る夏休みが怖いですー。
by 素風 (2008-06-28 00:09) 

素風

さとふみさん、nice! ありがとうございます。
by 素風 (2008-07-08 22:35) 

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